2025.6.26中央区議会本会議一般質問 全文
子ども達の育ち、学びの充実のため、また、区民の皆様のくらし、特にすまいの充実のため、最後に、本年度の中央区政の最大の課題のひとつ5期20年を務められた吉田不曇副区長の11月の任期満了後の後任人事について、問いました。
かがやき中央の小坂和輝です。会派の一人として、一般質問通告書に従い質問します。明快なるご答弁をお願いします。
(幼稚園・保育園での5歳児健診実施による発達課題の発見と対応)
5歳児健康審査(以下、5歳時健診という。)は、子どもたちの健やかな成長と発達を見守り、集団の中での生活や、小学校入学に向けた準備が順調に進んでいるかを確認する大切な機会である。特に、3歳児健診では気づきにくい、しかし、就学後では遅すぎる発達上の課題を気づき、対応のきっかけを作る目的で実施される。
2024年度から公費助成が開始され、多くの自治体で導入が進むことが期待されている。実施に向けた中央区の検討状況は、いかがか。
いずれの自治体でも、実施に向けてネックとなるのは、健診を行う医師の確保が難しい点にある。
そのような中、三重県名張(なばり)市では、人口規模7万人、一学年600人前後であるが、全園児を対象に園巡回方式で、子ども発達支援センターが中心となり、保健師、保育士、教員、心理師がチームとなって、保育園・幼稚園を巡回し、実施をしている。医師は、二次健診において診断を行う場面で登場する。本年度の日本小児科学会学術集会の場においても全国のモデルケースとして、演題に取り上げられていた。
「妊娠・出産・育児の切れ目のない支援」を実現するために「名張版ネウボラ」と称した子育て支援の一環として同市では実施されるに至ったが、たとえ医師の確保が難しくとも実施が可能であることから、本区においても、非医師のチームによる園への巡回方式による集団健診での5歳児健診の形態は、採用の余地があるのではないかと考えるが、いかがか。
5歳児健診で発達課題に気づき、就学前の1年間においてフォローアップを多機関が連携して行っていくことが大切である。5歳児健診の取り組みで、鳥取県では、小学校での不登校が減ったという成果も報告されている。
本区の保育園・幼稚園においても、園児の発達の課題についての把握は行えているところであるが、就学に向け、その園児の発達の課題をいかに解決していくかが、重要である。
医師、心理師、言語聴覚士や作業療法士など含めた多機関連携の上での対応は図られているか。連携のうえで、課題は何か。
(学校・保育現場における神経発達症に関する学びの場作り)
月島第二小学校では、2018年に研究奨励校として、「一人一人のわかった、できたを目指して〜ユニバーサルデザインの授業づくり〜」と題した研究発表がなされた。
発達障害の有無に関わらず、クラスの中のすべての子にとって分かりやすい対応を工夫しようという授業作りの実践であり、その後も、『中央区教育振興基本計画』及び『教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価の結果に関する報告書(以下、点検評価書という。)』において、通常学級において「ユニバーサルデザインの考え方に基づいた指導」を取り入れていくことが謳われている。
研究発表から6年が経過して、各校への広がりはいかがか。
発達障害に関しての専門知識も日々アップデートしてきている。「発達障害」の呼び名自体も、「神経発達症」となってきている。
タブレット端末も一人一台使用し、デイジー教科書や自動翻機能などICT機器も活用したユニバーサルデザインの考え方に基づく指導法がさらに展開できるのではないかと考える。
ICT機器も活用した指導法含め、神経発達症(発達障害)についての専門知識のアップデートに向けた体制は、学校現場ではどのように工夫しているか。
その知識のアップデートは、特別支援教育コーディネーターに限らず、課題を抱える子どもたちへの対応もするエデュケーション・アシスタント、学習指導補助員はじめすべての教員・学校関係者へと広がる必要がある。
どのように、すべての教員・学校関係者に知識の普及を図っているか。課題を抱える子どもたちへの個別対応の仕方は、千差万別であり、多機関連携のもと、対応の方法を工夫いただきたいと考えるが、現場での課題はあるか。
先生方が、神経発達症などの知識をもとに、個々の子ども達への対応を、ご家庭と一緒に、多機関と連携の下、これからも着実に行われていくことに期待したい。
(不登校支援での別室及び放課後の学童やプレディの積極活用)
不登校児童生徒は、増加傾向にあり、全国では35万人に上る勢いである。
本区でも、令和5年度で小学校児童116人、中学校生徒107人となっている。
「学校内外の機関等で相談・指導を受けていない不登校児童生徒」は、45人で全体の20%となっている。もちろん、全員、学級担任や管理職等とつながっているのではあるが、『点検評価書』での指標のひとつともなっている、それら「機関につながっていない児童・生徒」への対応の進捗はいかがか。どのようなところに課題があるか。
本年度、四月から始まった小学校での「別室」ができたおかげで、教室に入れなくとも、学校へは通うことができているとの声もうかがっている。
現在の実施状況と、実施にあたり、何か課題はあるか。全校展開に向けた考え方は、いかがか。
また、中には、放課後に友達と遊ぶことができる子もいる。交流を通じて外出機会を増やし、教室復帰を目指す方法もあると考える。
すでに不登校の子がプレデイを利用できている事例はあるが、放課後の友達との交流の場として学童やプレディを活用し、登校へとつなげていくことへの考え方は、いかがか。
(共同編集やAI活用等校務DXに向けた取り組みの進捗)
先生方の働き方改革を進めるにあたり、校務DXのもつ役割も非常に重要である。
校務DXを進めるにあたり、現状の課題は何か。現場の教職員からの要望の把握状況はどのようにできているか。
GIGA第二期に入り、教員へも新タブレットが導入される。どのような点で、利便性が向上すると想定しているか。。それにより、現状の課題は解決されるか。
また、月島第三小学校では、令和6・7年度の研究指定校として「子どものための校務DXの推進〜クラウドの有効活用を通じて〜」を主題に、校務改善に向けた研究がなされている。委員会答弁においても、採用できるものは、成果が出される前から他校でも採用していく趣旨のご答弁をいただいているが、全校展開によりどのような校務DXが進められるか。
「共同編集」「AI活用」、先生方同士ですぐに連絡が取り合える「チャット機能」等の導入を求める声を私は現場から伺っているが、それぞれの校務DXでの活用に向けた考え方は、いかがか。
次に、まちづくりについて、問います。
(築地市場跡地再開発における区の考え方の反映)
現在、築地市場跡地における「築地地区まちづくり事業」については、「築地地区まちづくり事業マネジメント会議(以下、マネジメント会議という。)」が開催され、検討が進められており、本年6月12日の第5回の会議では、事業者である「築地まちづくり株式会社」から『基本計画』が提示された。
5月には、その『基本計画』を元にして進められていると考えられる、環境アセスメントの一環として『環境影響評価調査計画書』が公表された。
本書に記載のある「建築計画」では、スタジアム、ホテル棟、オフィス棟、レジデンス棟など合計9棟、延べ床面積約126万㎡、最高高さ約210mの建築物群が計画されている。
環境アセスメントがなされた「建築計画」等が、今後、『実施計画』へと精度が高められていくわけであり、築地市場跡地の青写真は、ほぼ提示されたことになる。
事業者である「築地まちづくり株式会社」が策定した『基本計画』に対し、区の要望は、盛り込めたのか。
区は、「歩行者混雑を起させない動線を有するデッキ整備など含めあるべき築地再開発の区のイメージを形にした立体模型作成する」と委員会答弁をされている。立体模型作成の進捗状況は、いかがか。
区の要望としては、まちづくり協議会委員からも意見が出されているが、京橋築地小学校の教室数不足を来しかねないこともあり、超高層タワーマンションのようなレジデンス棟が建てられ一般住戸販売をさせないことが、守られているか。
また、まちづくり協議会では説明のなかった「ヘリポート」を開設し、定期運航されるような記載が『環境影響評価調査計画書』から読み取れるが、騒音問題は必発であり、災害時や緊急時のみの使用とできないか。
「環境配慮」を重点項目の一つとして、マネジメント会議で議論してきたのであるから、環境アセスメントにおいては、二酸化炭素排出量も項目の一つとして評価すべきではないか。
さらに、マネジメント会議では、「築地の資源を生かし、東京の魅力を高める取り組み」を第一の重点項目としてきた。築地の資源、それは、食文化そのものである。
食文化を生かすことについて、フードコートだけではなく、食や食文化の人材育成・研究・情報発信の拠点となる、例えば、イタリアにある「食科学大学」のような大学や研究機関を誘致や整備するなどして、築地の食文化を生かす考え方を織り込めないか。
最後に、本件事業により、場外市場はじめ周辺地域に多大なる影響を受ける。特に、築地社会教育会館等複合施設、まちづくり支援支援施設A棟、築地川第一駐車場など区有施設が、高速晴海線の動線上にあり、解体することになっている。9棟中のオフィス棟除く8棟は、7年後の2032年に完成予定であり、時間はあまりない。
それら区有施設の移転・再編計画の作成状況はいかがか。
(「居住支援協議会」の設置)
次に、すまいに関わる問題に移ります。
区は、昨年4月より「ふくしの総合相談窓口」を設置し、区民の福祉に関するあらゆるお困りごとを包括的に相談応需する体制を整えている。令和7年1月末現在、新たに507人の相談をお受けしており、丁寧なご対応に敬意を表する次第です。
さて、それら相談には、「すまい」に関する相談も多数あると考えらえるが、どの程度あるか。また、解決がかなり困難なことが予想されるが、すまいの相談のうち、何割程度が解決に結びついているか。
関係機関が連携し、かつ、相談者に伴走しながら解決に向けた取り組みをすすめる必要があると考える。本区も、地域福祉課と住宅課、中央区社会福祉協議会、宅建業者らと連携をし、解決の糸口を探しているとのことである。
であれば、すでに存在するそれらネットワークを公的に位置づけ、本区を除き22区は設置済みとされる「居住支援協議会」設置を検討してはいかがか。
(管理不全マンション問題)
本区は、マンション居住が9割5分という、非常に高率となっている。
そのマンション管理の適正化に向け、『中央区マンション管理適正化推進計画』を令和5年7月に策定したところである。
同計画書において、977棟中、管理不全の恐れがあるもの36棟、兆候があるもの93棟の合計129棟、13.2%が管理不全状態であった。
昨年度、マンション実態調査が行われたが、管理不全の実態と対応策をお示し願う。
本区も、都市整備公社を介し、マンションセミナーやマンション管理組合情報交換会を開催するなど、その取り組みを支援しているところであるが、マンションの適正な管理を進めるべきである。『同計画』の進捗は、いかがか。
(大規模修繕工事談合問題におけるマンション管理組合への支援)
本年3月、マンション修繕工事において談合が繰り返されていたとして、公正取引委員会が、独禁法違反の疑いで修繕工事会社20社に立ち入り検査が実施された旨、報道がなされた。
資材費高騰などでマンション修繕積立金不足の問題が顕在化するなか、談合により更なる住民の負担増につながっていたことになる。
長期修繕計画をきちんと立てて行くことだけでも、大変な労力を要するが、談合の疑いのある施工会社にだまされないようにするために、では、どのように対応すればよいのか。設計事務所や管理会社も関係している場合もあり、非常に困難である。
談合被害を防ぐために、マンション管理組合への支援として区ができることはあるか。
(中央区の既存まちづくり手法が限界にあることの認識)
まちづくりの最後に、今回の補正予算に計上されている晴海西小学校の校庭へ仮校舎整備を受けて問う。
何としても、教室数不足を避けなくてはならないという緊急事態に対し、この度の教育委員会の苦肉の策については、理解をするところである。現場の先生方も、一致団結してこの難局を、安全性を確保しながら子ども達の教育へ支障を来たさないように、乗り切ろうとされている。
しかしながら、小学校の校庭を使用し、教育環境の悪化を来した事態は、『中央区の教育環境に関する基本条例』にも抵触していると言わざるをえない。区の既存のまちづくりへの認識は、いかがか。
既存のまちづくりが続くなら、月島地域では、「最大想定」で児童がさらに2155人、生徒が867人増加する。それは、マンモス校である晴海西小中学校の2校分の規模に相当する。
学校のインフラ整備がそこまで追いつくとは到底考えられない。既存のまちづくりのありかたに限界が来ていると考えるが、区の認識は、いかがか。
(5期20年の任期満了を迎える吉田不曇副区長の後任の人材育成)
本年11月に、5期20年を務められた吉田不曇副区長の任期満了を迎える。
本区は、今、築地市場跡地再開発、日本橋首都高地下化、築地川区間首都高覆蓋化はじめ、十年二十年先の都市基盤整備の佳境にあり、まちづくりを担任し、区のまちづくり行政の指南役を担う副区長ポストは、いうまでもなく非常に重要であり、かつ、重責である。
一方、前述のように、既存まちづくり手法に限界が来ており、新たな発想のもと、想像力豊かで、柔軟に対応ができる人材が後任として求められると考える。
11月まで残り4ヶ月と迫っている。今回の副区長任命の重要性をいかに受け止めているか。また、人材育成含めた後任人事をどのようにお考えか。
以上