子どもの自殺に、小児科医として、どう取り組むか。

子どもの自殺は、小児科医としても、なんとかせねばと思うものの最重要事項です。 非常にわかりやすいご講演を拝聴しましたので、そのポイントをまとめます。

第271回聖路加国際病院下町懇話会 2025年9月16日
演題:「児童思春期世代の自殺の現状と課題:成人との比較から見えるもの」

講師:大内衆衛先生(聖路加国際病院精神科)

■ 日本の自殺の現状
・G7で最も高い自殺死亡率、特に女性は世界第2位。
・1998年に中高年男性、2020年に女性・若者で急増。

■ 児童思春期の特徴
・小中高生の自殺は増加傾向、2024年に過去最多529人。
・背景:貧困・学習格差、ネット依存、家庭内暴力、対人関係の希薄化。
・女性の自殺が男性を上回る傾向。

■ 原因・動機
・成人:健康・経済・家庭・勤務問題。
・児童思春期:学校(学業不振・友人関係)、家庭問題。原因不明も多い。
・日本は10〜19歳死因1位が自殺(他国は事故)。

■ 予防と対策
・最重要リスク:自殺未遂歴(再自殺率は30倍)。
・アプローチ:社会全体への予防、ハイリスク者への重点支援。
・保護因子:広く緩やかな人間関係、助けを求められる環境、無理をしない、困っている人を支える。

■ 質疑応答より
・イタリアの自殺率低さ→インクルーシブ教育・強い家族つながり。
・自傷行為は危険、自殺に至る場合あり。
・診療報酬制度導入で未遂者の再企図率は半減。

■ 行動項目
・個人:広い人間関係、助けを求める、無理をしない、困っている人を助ける。
・地域:中央区の自殺対策を再検討。
・医療:未遂者支援体制強化、病床整備を検討。

以上

第34回日本外来小児科学会、年次集会、高松市。 非常に大きな学びをいただきました。



私にとっては、 社会小児科学の手法、使える!と実感を持って、確信しました。
そして、 教育と医療の連携、できる!、このことも実感をいたしました。

同じように悩み、それでも取り組まれている全国の小児科医の皆様、小児医療を心底支えるスタッフ・ボランティアの皆様がおられることに、大きな勇気をいただきました。

来年は、札幌。 時間を作れるように努力し、再会できること、願っています。

日本は、狭いと思いました。東京で夜の会議に出た後、朝イチ8:30の高松の学会に参加ができます。 日本は、広いと思いました。こんなにたくさん、熱い小児科医がおられる。

いただきましたネットワークは、今日から生かしていきます。

日本の小児医療、外来からも、進めましょう。

子どもは、地域の宝なんだから。 必ず、子ども達を、守ります。

最後に、素晴らしい大会をご準備くださいました香川県、四国をはじめとする関係者の皆様に、心よりお礼申し上げます。 ご準備、お疲れ様でございました。徳島のものだけど、香川の夜の阿波踊り、とっても楽しかったです。有意義な大会、本当にありがとうございました。

  • 自分研究(子どもの当事者研究)って何?

〜どうやって取り組むの?〜


◆ 自分研究とは

発達障害など、特別な支援が必要な子どもたちが、
自分の「困っていること」や「苦手なこと」を、先生や小児科医など支援者と一緒に研究し、対策を考える取り組みです。

困りごとへの対策だけでなく、
「自分の好きなこと・得意なこと」を見つけながら成長していくことを目指します。


◆ 3つのフェーズで進めます


① 導入期

〜安心して話せるようになるまで〜

  • 支援者は、安心・安全な場を作ります。
  • 信頼関係を築き、子どもの話を丁寧に聴きます。
  • 子どもが、できれば、「話すって楽しい」と思えることが大切です。

👉 この時点で「自分研究」が終わってもOK!
大切なのは、支援者が子どもの実態を把握することです。


② 分析・実験期

〜困りごとに向き合い、工夫する〜

  • 「困っていること」をキャラクター化(外在化)し、「自分」と切り離します。
    例:イライラくん、ドキドキさん
  • 困りごとが「いつ」「どこで」「どうあらわれるか」を整理。
  • 支援者と一緒に、できる工夫を考えます。

👉 解決策が見つからなくても、周りに理解してもらうことが第一歩です。


③ アウトプット期

〜自分に合った方法で人に伝える〜

  • 発表・絵・動画など、自分らしい方法で伝えます。
  • 認めてもらう経験が、自信や次のチャレンジにつながります。

◆ 「自分研究」で、大切にしたいこと

🟦 「自らやる」気持ちが大切
子ども自身が「やってみよう」と思えることが、第一歩。

🟩 支援者との「共同研究」
一人で頑張るのではなく、信頼できる人と一緒に進めるのがポイントです。

やり方は一人ひとり違います。十人十色。


◆ 参考書籍

『特別な支援が必要な子たちの「自分研究」のススメ』
熊谷普一郎 監修、森村美和子 著
(金子書房)

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世田谷区の障害相談支援のための『計画相談マニュアル』


障害相談支援のため、非常に参考になるマニュアルです。

こちらでも、共有します。
→ https://www.city.setagaya.lg.jp/03655/2904.html#p1

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医療的ケア児の支援体制充実に向けた検討状況


 自立支援協議会の一部会で、「医療的ケア児等支援連携部会」が構成されており、医療的ケア児の支援体制の充実が検討されています。
 保育園・幼稚園、小中学校、高校大学での安心安全な受け入れ態勢が進んでいくことを、期待しています。
 直近の課題として、以下、第5回自立支援協議会(2025.7.8開催)の場で、同部会から示されています。

https://www.city.chuo.lg.jp/documents/15512/ziritu4siryou2-4.pdf

・医療的ケアの正確な数の把握をすること
 対応策;把握機能の向上

・看護師不足、医療的ケア児の支援経験のある職員が限定的→受け入れる現場での不安感
 対応策;医療現場での豊富な経験を持つ医師による研修会や講演会等を継続開催。

・医療的ケア児コーディネーターの多くが資格取得はするが、実際の実務の経験を有する職員は少ない。
 対応策;区内の医療的ケア児コーディネーターの役割、配置について明確化。

・体制整備に向けては、関係機関での情報共有や連携が必須であるが、保育園、小学校等での連携がまだ十分と
は言えない。
 対応策;地域で必要な支援が受けられるよう医療、保健、福祉、教育等の連携体制をさらに充実させる。

以上




中央区の若者の課題について

2025.7.25、「「若い世代の生きにくさをどう支えるか」をテーマに、医療関係者で議論致しました。
私も、一演者として、問題提起を以下、させていただきました。


議論において、難しいと考えた点を記載します。

●18歳で、支援のメニューが、減ってしまうこと。
 教育委員会、子ども家庭支援センターの対象年齢からはずれる。

●相談したい親の相談できる相談先が、ない。

●区内の人数が、統計上どれだけかがわからないことがある。

●連携をとれる顔の見える関係づくり。

子どもから若者まで、支援できる体制づくりを引き続き、考えていきたいと思います。


『自己決定で安楽死、尊厳死を選択するということ』

オランダ、ベルギー、スイスなど安楽死が認められる国もあります。
イギリス、フランスでも安楽死の法制化が国会で議論され、法制化される可能性もあります。

ジャーナリスト浅川澄一氏の安楽死に関するご講演を拝聴する機会がありました。

●安楽死:回復の見込みのない病気の患者が医師により薬物などを服用し、死を選択すること

●尊厳死:患者の意思によって延命治療を行わない、または中止すること

*セデーション(終末期鎮静):痛みを取る緩和

現在、尊厳死は、日本で認められていますが、安楽死は、認められていません。
欧米では、厳格な条件で、安楽死が、なされています。

●オランダの安楽死の6要件
①安楽死の要請は、自発的で熟慮された
②苦痛は耐えがたく治癒の見込みがない
③医師は病状や見込みについて十分に情報を与えた
④医師と患者が共に他の解決策がないと結論づけた
⑤別の医師と相談し、その医師が面談して要件を満たしていると判断した
⑥医師は十分な医療上の配慮を行い患者を絶命させた

*オランダでは「自発的な生命の終結協会(NVVE)」が主導している

●横浜地裁の「安楽死」4条件(東海大学病院事件判例1995年)
①耐え難い肉体的苦痛がある
②市が避けられず、死期が迫っている
③苦痛を取り除く手段を尽くし、他に方法がない
④生命の短縮を承諾する患者の明確な意思表示
(適用されたことはない)

本日は、大変勉強させていただきました。
医師として、生ききることをささえねばと思ってきましたが、安楽死の考え方も、理解する貴重な機会となりました。

今後のあるべき議論は、どのようにしていけばよいのだろうか。
かつて、2019年11月30日京都ALS患者林優里さん「安楽死」事件における裁判では、「安楽死」の観点からの議論は、十分につくされなかったとのことです。(2025年6月最高裁上告棄却で確定、医師に嘱託殺人、懲役18年)
医師、文化人類学者、法学者、宗教家などで、議論の場が、まずは、できないだろうか。
ただし、死生観は、欧米と東洋は大きく異なってもいます。
根源的なところから、十分に議論をしていく必要性があると考えます。

*参考文献
『安楽死で死なせて下さい』橋田壽賀子、文春新書
『高瀬舟』森鴎外、大正5年
NHKスペシャル『彼女は安楽死を選んだ』2019.6.2
ノンフィクション『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子

『文藝春秋』2017年3月号 「安楽死は是か非か」アンケート
「安楽死に賛成」の著名人33人を抜粋
浅利 慶太  大林 宣彦  角川 歴彦
金子 兜太  岸田 秀  久坂部 羊
倉本 聰  呉 智英  小林 亞聖
三枝 成彰  澤地 久枝  妹尾 河童
筒井 康隆  橋本 治  水木 楊
無着 成恭  山川 静夫  山田 太一
湯川 れい子  丹羽 宇一郎 野口 悠紀雄

「なぜ、安楽死に賛成か」(文藝春秋アンケート)
●大林宣彦 死こそは当人の自由であるべきです。死こそは自身の「表現の自由」の最後の砦だと信じるから・・・
● 呉 智英 母を91歳で亡くしました。この1年間は、激痛と不安に苦しみ、見ているこちらもやりきれませんでした 死にたい、殺してくれ、と言われるたびに、安楽死が可能ならそうしてやりたいと思いました。
●小林亞聖 自分があくまで自分である権利を守るため
●野口悠紀雄 死の選択も、個人の自由のうちに含まれる
●澤地久枝 生まれることは選べなくても、死ぬときは、自分らしくと思います。

以上

誰が民生委員か、知られていない。
なられる場合のハードル
不在地域
中央区社会福祉協議会のささえあいサポーターらとの連携
「証明調査書」への対応が、非常に重積
見守る場合の名簿を適切に預けられること
個別訪問する場合のマンションのセキュリティーの関門
若いひとの参画
PTAらとの連携
災害時における助け合い名簿の有効活用
など。
2025.6.28